スチールギターのコード 上級編

guitarmustスチール・ギターのコード 上級編
スチール・ギターでコードを弾きます。スチール・ギターは、メロディーを弾くプレイと、バッキングを弾くプレイ、主に2つの弾き方があります。バッキングを弾く場合は、コードを弾くとことになりますが、バーを使って押弦しているため、ギターのように自由にどんなコードでも弾ける訳ではありません。スチール・ギターのコード・フォームについてみてみましょう。

※ここでは、具体的にコード・トーンを考えて弾くポジションを紹介しています。各コードのコード・トーンに関する知識はある事を前提として話をさせて頂きますのでご了承下さい。

具体的な使用例やフレーズへの応用の仕方は、実践編にて解説しておりますので、そちらのページを参考にして下さい。

guitarスチール・ギターのコード・フォーム
バーを同フレットで構えると、鳴らすことのできる和音に限りがあります。コードを自由に扱う為には、コードの仕組みやコード・トーンを理解しながらポジションを覚えていってみましょう。スチールギターでは、全てのコードを完全に弾くことはできませんが、アンサンブルの中でコード・トーンを鳴らすことで、その雰囲気を出すことができます。そのためには、コード・トーンをしっかり理解していることが必要になります。コード・トーンを理解できれば、ハワイアンやカントリーに限らず、ジャズやポップス、ファンク等、あらゆるジャンルの音楽でスチールギターを活用することができるようになります。では実際のコード・フォームを見てみましょう。

guitar2メジャー7thコード
メジャー7thコードのフォームを見てみましょう。まず、Cメジャー7thのコード・トーンを見てみます。「C E G B」となり、Cのトライアドにメジャー7thであるB音が加わっています。ここで、ルート音であるC音を抜いて考えてみましょう。C音を抜くと「E G B」となり、Emコードのトライアドになっていることがわかります。要するに、Cメジャー7th=Em(onC)であると言えます。具体的な使用例やフレーズへの応用の仕方は、実践編にて解説しておりますので、そちらのページを参考にして下さい。

バンド・アンサンブルの中でプレイしていると、コードのルート音はベースやピアノが弾いています。従って、上に乗っかるスチールギターは、そこまでコードのルート音に拘る事はありません。そこで、Cmaj7のようなコードは、ルート音を省いた形であるEmを弾けば良いというように考えます。メジャー7thであるB音を省いてCコードを弾いても可ですが、より、コードの雰囲気を活かすためにはメジャー7thを含んだEmを弾く事がベターでしょう。

Emコードはスチールギターの7フレットにその構成音が全て揃っています。7フレットにバーを持って来て、4弦以外の弦を弾けばEmのコードを鳴らす事ができます。4弦はD音になるので、Emから見ると7thになります。7フレットで弦を全て弾くとEm7のコードを鳴らす事ができますね。これを仮にルート音のCが鳴っている中で弾いたとします。ルートのC音を含めて「C E G B D」と鳴らすと、Cmaj9になるのがわかります。Cmaj7に9thのテンションが入ることになります。このようにCmaj7の時9thを含めてEm7を弾くこともできます。

このように、コードをルート音とそれ以外の音に分けて、ルート音以外の音を弾く事で、色々なコードを弾く事ができます。スチールギターでは、コード・トーンをシンプルなトライアドの組み合わせとして分けて考えて、色々なコードを鳴らしています。他のコードも見てみましょう。

guitar39thコード
7thコードの弾き方は中級編でも取り上げたとおり、スラントや弾く弦を区別することでコード・トーンを鳴らす事ができます。9thコードは7thコードに9thのテンションを加えたものです。従って、7thコードとして弾く事もできます。しかし次のように考えることも出来ます。

G9コードを例に見てみましょう。G9コードはG7+9thですが、前述したとおり、ルート音とそれ以外に分けてみます。ルート音であるG音を抜くとコード・トーンは「B D F A」となります。更にB音を抜くと、「D F A」となり、Dmコードのトライアドになります。ようするに、G9コードは、GコードとDmコードを合わせたようなコード・トーンになっています。

Gコードは7フレット、Dmコードは5フレットの1~3弦ですので、ポジションは解りやすいですね。基準のトライアド+2フレット下の1~3弦を弾けば7thコード+9thのテンション音を弾く事ができます。

具体的な使用例やフレーズへの応用の仕方は、実践編にて解説しておりますので、そちらのページを参考にして下さい。

guitar2m7(b5)コード
前述したとおり、G9からG音を抜いたコードは「B D F A」になりますが、これがBm7(b5)コードになります。ようするに、Bm7(b5)もDmコードを含んでいるコードになるので、Dmコードを弾く事で対応することができます。Bm7(b5)=Dm6と解釈することもできます。スチールギターで、m7(b5)コードは、1音半上(3フレット上)のマイナーコードを弾く事で対応することができるということです。

ここで注意しておきたいのは、Bm7(b5)はBmコードのトライアドを弾く事はできません。トライアドの5thが変化している和音なので、11フレットでマイナーコードを弾いてはいけません。しっかり区別しておきましょう。

具体的な使用例やフレーズへの応用の仕方は、実践編にて解説しておりますので、そちらのページを参考にして下さい。

guitar3dimコード
ハワイアンでもしばしばみることのあるディミニッシュ・コードも難問の一つですね。ディミニッシュは7thコードのルート音を半音上げる事で得ることのできる響きです。例えば、G7コードのコード・トーンは「G B D F」ですが、ルート音を半音上げて「G# B D F」とすると、G#ディミニッシュ・コードになります。コード・トーンを見る限り、最低でも3つの音を、レギュラー・ポジションで同時に弾く事はできません。ディミニッシュはコード・トーンを適宜2音づつ組み合わせて弾く事しか出来ないということになります。例えば、Cdimの場合以下のようなポジションを考える事ができます。

各コード・トーンの音程差が1音半になることがディミニッシュの特徴でもありますので、3フレット間の移動をさせることでコード・トーンを追うことが出来ます。同じフォームを平行移動させれば良い事になりますね。実際のコード進行の中では、下記のようなポジションをイメージしてコードを弾く事になります。コードとポジションの関係をよく確認しておきましょう。

guitar3augコード
オーギュメント・コードもディミニッシュ同様に、同時に3音を鳴らすのが困難なコードになります。これもコード・トーンの中から2音をチョイスして組み合わせる事で対応します。Caugだと「C E G#」がコードトーンになります。各音の音程差が2音になるのが特徴ですので、同じフォームで4フレットづつ移動させれば良い事になります。

guitar2コードを弾く上でのポイント
これ以上コードの形を羅列していってもキリがないので、コードを弾く上でのポイントを整理しておきましょう。まず、レギュラー・ポジションでトライアドを正確に鳴らすことの出来るコードは、メジャー・コードとマイナー・コードだけです。それ以外のコードは、コード・トーンを考えて、幾つかのポジションを組み合わせて弾く事になります。「幾つかのポジション」を考える時に、まず最初に次の2つのポジションを探ります。これが最も使い易いポジションですので、ここからまず考えていきます。

1つ目が2、3弦です。レギュラー・ポジションで短3度、スラント・ポジションで長3度を作ることの出来る2、3弦を使うと、大体のコード・トーンを捉える事ができます。親指と人差指で摘み上げれば弾きやすく、メロディーのハーモニーとしても使い易い弦の位置なので、ここからコード・トーンを探ってみましょう。

2つ目は2弦と5弦です。6度のハーモニーですが、レギュラー・ポジションで長3度、スラント・ポジションで短3度を得ることができます。これもメロディーのハーモニーとして弾く事も出来る使い易いポジションになります。

その他のポジションとして、1弦と4弦を使ったポジションもありますが、これはリバース・スラントを使うことになるので、できれば避けたいポジションです。2弦と4弦を使ったプレイもよく利用しますが、レギュラー・ポジションで1度5度、スラントでトライ・トーンになるため、7thコードの時トライトーンを解決させる方法が殆どになります。レギュラー・ポジションの1度5度を使うくらいなら、5弦の3度を入れた方が響きが綺麗になるので、単体で考える事はあまり無い使い方になります。

また、4弦5弦を使ったり、4弦6弦を使ったりするポジションも理屈の上ではありますが、どうしても低音に音が寄るため、ひとまず考えなくても良いでしょう。1弦2弦を使ったポジションはこの逆で、高音に寄るため、メロディー感が強く出てしまうことがありますので、鳴れないうちは避けておいた方が無難です。

C6のスチール・ギターでも多くの曲を演奏する事ができます。しかし、全てのジャンルで幅広いプレイをする為にはかなりの知識と慣れ、練習が必要になりますね。また、バーを使っている上での制限もありますので、これ以上を望む場合はペダル・スチールへの移行を考えなければならないでしょう。

金髪せんせー

→スチールギターのコード 初級編
→ハーモニーの練習 1回目
→ハーモニーの練習 2回目

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