ギター小ネタドリルvol.19 「緊張への対処法」

皆さん、こんにちは!!RGSギター教室、ギター講師の武谷です。

2020/4/12、RGS初のオンラインによる発表会を行いました。この発表会は、YoutubeLiveを使った”ライブ配信”という形での開催となりました。今日は、この放送のトーク・コーナーで語った「緊張への対処法」をもうすこし深堀りして記事にしてみました!!

楽器の演奏をする皆さんは、人前での演奏で緊張した経験があると思います。強い緊張を感じながらも何とか演奏が出来る場合もありますが、緊張に押しつぶされまともな演奏にならなかったという苦い経験をしたことがあるという方もいらっしゃるかと思います。今日はそんな「緊張」とどう向き合っていけばよいのか、私自身の対処法も紹介しながら、考えていきたいと思います。

★VOL19「緊張への対処法」

“良い緊張”と”悪い緊張”

「緊張」には”良い緊張”と、”悪い緊張”があります。”良い緊張”はパフォーマンスにプラスの影響を与えますが、”悪い緊張”はマイナスの影響を与えます。

“良い緊張”はじわじわやってきます。発表の2.3日前から、じわりじわりと緊張の波がやってくるのです。当人はある程度の準備、練習を積んでいますが、それがしっかり出せなかったらどうしよう、時間をかけてちゃんと準備したことが上手くいかなかったらどうしよう…と考えているのです。この緊張は少しずつ大きくなり、本番で最高潮に達します。しかし、本番になり出だしでスムーズな演奏が出来ると、すっと気持ちが軽くなり、演奏に集中できるようになります。これが、”良い緊張”です。”良い緊張”はぐっと集中力を高めてくれます。

対して、”悪い緊張”は突発的にやってきます。発表の2.3日前はどうにかなるだろうと、考えているのですが、本番が近づくにつれて急激に緊張度がアップしていきます。当人は十分な準備をせず、何とかなるだろう高をくくっている場合が多いです。こういう場合は本番前に急激に緊張します。そうなると、本番が始まっても気持ちは落ち着きません。演奏が始まっても心臓がバクバクしているので、頭が真っ白になってまともな演奏が出来ない危険性が高いです。これが、”悪い緊張”です。”悪い緊張”はこのような形で襲ってきます。

“良い緊張”は、ある程度積み重ねた努力が発揮できないかもしれないということに対しての恐怖から発生します。対して、”悪い緊張”は、何とかなるだろうという根拠のない自信が何かの拍子で(他の人の演奏を観たりして)崩れ去ることから発生します。”良い緊張”は自分への信頼を取り戻せれば、集中力アップに貢献しますが、”悪い緊張”は一回発生すると立ち直ることが難しい場合が多いです。

“良い緊張”と”悪い緊張”を区別して考えよう

“良い緊張”でも当人が”悪い緊張”と捉えてしまえば、それはパフォーマンスに悪影響を及ぼす要因となってしまいます。本当はしっかり準備していて、じわじわきてる”良い緊張”のはずなのに、自分の中で変に緊張を増幅させ、”悪い緊張”に転化させてしまうことがあるのです。それは、過去に”悪い緊張”でぼろぼろになった経験を引きずっているから起こることなのです。”良い緊張”の緊張感を、過去の”悪い緊張”で失敗した経験と結びつけ、「これはやばい…」と思ってしまうと、その時点でそれは”悪い緊張”に変わります。実は、じわじわきている緊張は全くやばくないのです。むしろ集中力をアップさせる要因となってくれるので、ちょっとくらいの緊張は「これは逆にいいことなんだ」と思うようにすることが大事なのです。

じわじわきていれば、それは”良い緊張”です。2.3日前、(人によっては1週間くらい前かもしれませんが)から緊張を感じていればそれは”良い緊張”で、ある程度練習も積んでいるということになります。従って、そういう場合は本番前に緊張していても「これは”良い緊張”なんだ」と自分に言い聞かせることで、”悪い緊張”に転化するリスクを抑えることができるのです。このように考えることで、緊張で演奏がぼろぼろになる可能性がかなり減ってくるかと思います。

私なりの対処法

最後に私なりの「緊張」との付き合い方をご紹介します。

自分にとって、演奏における「緊張」は、ミスをすることへの恐怖から発生しています。ミスをすることによって演奏の完成度は下がりますが、そのミスによって自分が本来出せるクオリティを下回ることが怖いのです。しかし、何回もライブをやっているうちに、リスナーの皆さんはそんな細かいミスなどあまり気にしていないということに気づきました。もちろん、少しでもクオリティの高い演奏を提供出来たほうが良いのですが、多少ミスがあってもお客さんが喜んでくれる演奏が出来たほうがさらに良いという認識になってきたのです。

純粋に演奏のみで感動していただくことは、プロでも結構むずかしいことです。お客さんの満足というものは、演奏だけではなく、実際もっと多くの要素が複雑に絡み合って生まれるものです。ライブで感動すると、演奏で感動したという気持ちになりますが、実際はおしゃれなライブハウスに行ったらそれだけでテンションが上がりませんか?ライブ会場で友達にあって、一緒に音楽を聴いたらそれだけで嬉しくありませんか?アーティストが面白いトークをしてくれたら、リラックスして音楽をもっと楽しく聴けますよね。とても難しいことかもしれませんが、音楽をパフォーマンスとして、エンターテイメントとして捉え、より広い視野をもってリスナーの視点で考えられると、演奏に対しての「緊張」はかなり和らぐはずです。

それでは、本日も練習頑張ってください!!

RGSギター教室 ギター講師 武谷健