FUZZY SUPERB ハイブリッド・ペダルスチール

FUZZY SUPERB

E9チューニングとC6チューニングのハイブリッドを実現する高性能ペダル・スチール・ギターを紹介したいと思います。

このスチールギターは、ペダルスチールのダブルネックで使われる、E9とC6の2つのチューニングを、1台のスチールギターに集約するように作られたギターです。E9とC6のチューニングにはそれぞれ特徴があるのですが、それをシングルサイズのギターで同時に弾くことができるようになっています。ダブルネックのスチールギターは、どうしても物理的に大きくなってしまうので、ライブやリハーサルに頻繁に持ち運びをするのはとても大変です。そこで、2本分のネックを1本にまとめてコンパクトに持ち運びしやすくしようとしたわけです。

ダブルネックと比べると、大きさの違いがよく分かります。キーレスということもあって、重さも大分軽くなっています。

E9とC6を1台にまとめると言っても、全く同じ状態で1つのチューニングにする事は出来ないので、各ネックで共通するペダルの配置や、隣り合った弦の相対関係を演奏に大きく影響しない範囲で組み替えて1台にまとめています。弦の配置やペダルやレバーの位置はそれぞれのチューニングで弾いているのとは違いますので、新たに新しいチューニングを覚えるつもりで取り組まないといけないですね。

下の写真のレバーで、全体のチューニングを変更することができるようになっていて、E9とC6を切り替えています。チューニングやセッティングはちょっと大変ですが、ハイブリッドを実現するとてもいい機能です。

10弦2本分を1台にするので、弦の数はどうしても増えてしまいます。これは12弦の機種になっています。C6の10弦は結構太い弦を張ってありますし、E9と共通して使うことのできない弦のために、2本の弦を追加して12本になってます。

2つのチューニングを1つにまとめるのに、ユニバーサルチューニングというチューニングがあります。ユニバーサルチューニングはチューニングを切り替えることなく、各チューニングのフレーズを弾くことができるようになっています。

これは一つの例ですが、開放弦のチューニングはこのようになっているので、コードポジションやフレットと音程の関係がE9ともC6とも違います。ポジションは覚えなければいけないので、難しいですが、2つのチューニングの特徴を同時に鳴らすことができるので、曲中でそれぞれのニュアンスを弾くことができたり、表現の範囲は広がります。ユニバーサルチューニングについてはまた別で紹介したいと思います。

E9は低音部に追加弦が多く張ってあります。高音部から換算すると、E9の感覚で弾くことができますが、9弦の7th弦や7弦の9thが無いチューニングも多いので、ハーモニーを弾く感覚が少し違う感じがします。普段レバーで捜査している音がペダルに置き換わったり、ペダルの配置が違ったりするので、慣れないと難しいですね。

C6チューニングは、シングルのチューニングのまま弾いている感じがしますね。ボトムから10弦分配置されていて、上の2本が追加されている感じですので、とても弾きやすいです。レバーの配置に慣れるには少し練習しないといけないです。

とても機能的に作られていますが、演奏するのはちょっと難しいですね。まず、弦が増えた分だけ難しくなっているので、それぞれのチューニングの特徴を理解して弾かないと、楽器の性能を活かすことができないような気がします。特にE9の配置の違いや、低音弦の活用の仕方をよく考えながら弾きたいです。C6の方は、1弦と2弦の分だけフレーズの幅を広げられるのでいい気はします。

チューニングも少し大変ですが、非常に安定感があってとてもよく作られている楽器と思います。

ペダルスチールを頻繁に持ち運びしなければならなくて、かつ、2つのチューニングの特徴を存分に使い分けする人にとっては、重宝する逸品だと思います。
初心者の方にはちょっと扱いが難しい楽器かもしれません。

金髪センセー