スチールギター Aチューニング

Aチューニング

 Aチューニングはスチールギターの創成期から使われていた歴史あるチューニングです。スチールギターを米国にもたらした「Joseph Kekuku(ジョセフ・ケクク)」が使用していた初期のチューニングに始まり、「Jerry Byrd(ジェリー・バード)」がC6チューニングを広めるまでに主に使われていたようです。代表的なプレイヤーを以下にあげておきます。

Joseph Kekuku

Sol Hoopii

Roy Smeck

Leon McAuliffe

Bob Dunn

 初期のAチューニングはギターのレギュラー・チューニングから2弦、3弦、4弦の3本を1音上げることでオープン・チューニングを作ることができます。弦のゲージを変えることなくチューニングできるので、通常のアコースティック・ギターを使っても弾くことができるのがポイントでしょう。SolHoopiiのように低音弦を変えるチューニングは、弦のゲージも変えなければ、かなり弦を巻くことになり、ネックにも負担がかかるので、専用弦が必要になります。

 先日紹介したナットのエクステンションを使って、アコースティックギターでスチールギターを弾いてみました。このようなトライアド・チューニングの特徴は、多くのコードやハーモニーに対応することができないということになります。従って旋律を単線で弾くフレーズが中心になり、コードを意識したポジションよりも、旋律の動きを意識したポジショニングが多くなります。

→アコギでスチールギターを弾く

 コードを使ったハーモニーの使用が限定されると、複音を使ったフレーズが多くなります。複音のポジションはおおよそ以下のポジションが使われ、これらの組み合わせが、チューニングの特徴を生んでいます。


1弦と2弦を使った3度ハモのポジション。レギュラー・ポジションで弾くことのできる使いやすいハーモニーです。

1弦と3弦を使った6度ハモのポジション。スラント・ポジションになりますが、スチールギターらしい6度のハーモニーを鳴らすポジションです。

2弦と4弦を使った6度ハモのポジションです。1、2弦を使ったハーモニーをひっくり返した音程になります。

 ハーモニーを使ったフレーズはどうしてもスラントを多用することになりますので、演奏の難易度は少し高く感じるかもしれませんが、それほど多くのパターンがあるわけではないので、バーの動き方に慣れてしまえばC6チューニングよりも楽に弾くことができるはずです。

 Sol Hoopiiの演奏による「Flower Lei」のプレイを以下のように弾いてみました。ここでのチューニングは5弦と6弦をC♯とAにしていますが、5弦のラインを弾かなければレギュラー・チューニングと同じAとEで対応することもできます。どことなくレトロな雰囲気のあるチューニングです。是非弾いてみて下さい。

金髪先生