ペダルスチール チェンジャーで音程が変わる仕組み PushPull

ペダルスチール チェンジャーで音程が変わる仕組み「PushPull」
Push-Pull Chager

ペダルスチールは特定の弦だけ音程を変える事ができます。では、どのように音程が変えているのか、その仕組みをみてみましょう。仕組みを理解することで、チューニングやセッティングを自分でする事ができるようになります。楽器を演奏する上で、楽器の仕組みを知ることはとても大事なことです。ここでは、ペダルやレバー操作によるチェンジャーの基本的な仕組みを見てみましょう。

※ペダルスチールのチャンジャーには、幾つかの方式があります。ここでは、PushPull方式について解説していきます

PushPull方式
ペダルスチールには、弦1本に付き1つのコマが付いています。ストラトのようなエレキギターと同様に、弦の数だけコマが付いており、各コマをかえして弦が張られています。通常ラップスチールには各弦のコマはなく、1本のバー上のサドルに全ての弦が乗っています。従って、単独の弦を調整する事はできませんが、ペダルスチールは全ての弦に単独でコマが割り当てられているので、各弦を独立して調整する事ができます。

「PushPull」のコマは、2連構造になっており、1本の弦に対するコマは、2つのコマが、1組になっています。下の写真を見てみると、コマが2つになっているのが解ると思います。これが、「PushPull」のコマです。

PushPullのコマ
コマは可動式になっています。2つのコマのうち、1つが音程を上げるコマ(RaisingFinger)、もう1つが音程を下げるコマ(LoweringFinger)です。具体的には、弦の乗っている方が音程を上げるコマ、もう一方は音程を下げるために、弦の乗っているコマを動かす為のコマです。音程を下げる時は、一方のコマの動作により、もう一方のコマが動かされているということです。具体的な動作について見てみましょう。

ペダル操作により音程を上げる
弦の乗っているコマは単独で動かすことができます。ペダルやレバーの操作により、シャフト(RisingRod)を引張る事でコマを引張り音程を上げる事ができます。これは、他の「AllPull」や「PullRelease」方式のコマと同じ原理で動いています。ペダル操作をすることで、コマに取り付けられたシャフトが引張られ、コマが軸(ChangerAxle)を中心に傾きます。弦はボールエンドによりコマに固定されているので、弦は右側に引張られて音程が上がります。引張られたコマはペダルを戻すことで開放され、弦の張力を持って元の位置に戻ります。上げる弦の音程の調整は「どの位可変させるか」ではなく、「可変したものがどの位戻るか」をネジ(AdjustmentScrew)で調整することになっています。従って、ペダルを踏み込んだ状態で(音程が上がった状態)で、ペグによるチューニングを行ない、ペダルを戻した状態(開放弦)では、コマ(RisingFinger)にあてがわれたネジ(AdjustmentScrew)を使ってチューニングをします。

下の図の「ペダル操作により引張ることで音程を上げる」と書かれたシャフトが「RisingRod」、「開放弦のチューニングをするネジ」が「AdjustmentScrew」です。

ペダル操作により音程を下げる
どのチェンジャーの方式でも、音程を上げる動作はほぼ同じで、音程を下げる動作によって方式が別けられています。「PushPull」で音程を下げる動作は、ペダル操作によってシャフト(LoweringRod)でコマ(LoweringFinger)を押し、そのコマ(LoweringFinger)によって、弦の乗っているコマ(RaisingFinger)を動作させることで音程を変化させています。LoweringFingerを動かすと、RaisingFingerが連動して動くようになっています。RaisingFingerは独立して動きますが、LowringFingerは独立して動くことは出来ないようになっています。シャフトでコマを「押す」という動作は、他のチェンジャーには見られない独特なものになり、ペダル操作で押すという感覚がダイレクトに音程につながることになります。ペダルやレバーを戻すことで、コマに付けられたスプリング(ReturnSpring)によって、コマが元の位置に戻ります。音程変化の調整は、Pull用のコマに独立して付けられたネジ(AdjustmentScrew)によって行ないます。ネジを調整することで、コマの稼動範囲を調整して、音程を合わせます。

下の図で「ペダル操作により押すことで音程を下げる」シャフトが「LoweringRod」で、「コマの動きを制御して音程の下がり具合を調整する」ネジが「AdjustmentScrew」です。

「PushPull」は複雑な構造をしているので、チューニングや調整は他の方式に比べて難しく繊細なものになります。また、経年劣化により、スプリングの張力が弱まったり、Collarと呼ばれるシャフトの先に付いた部品がずれたり緩んだりします。BellCrankとCollarの位置は、音程に直接影響する部分ですので、繊細な調整が必要になることもあります。トラブルが起きたときはむやみに自分で調整せず、専門のテクニックに任せるようにした方が良いでしょう。しかし、チェンジャーの動きや構造を理解しておくことは、楽器を弾く上でも、とても大事なことになります。チューニングの際にも必要な知識になるので、基本的な原理をしっかり覚えておきましょう。

PushPullのチューニング方法はこちらのページで説明しています。→「PushPull」チューニングの仕方

PushPullの構造は複雑です。ここでの解説だけでは解らないこともあると思います。ご質問等ございましたらお問い合わせよりお気軽に連絡下さい。

金髪せんせー

lessonスチールギター・レッスン開講中