ブルース・セッション 1回目

guitar-125ブルース・セッション 1回目

「ギターは多少弾けるけど、セッションはちょっと…」というセッション初心者のために、ブルース・セッションの基本を伝授していきます。
ブルースに興味を持って、練習をしていくと、やはり「セッションをしてみたい」という気持ちが沸いてくると思います。ブルースはセッションを通じて音による会話を楽しめるエキサイティングな音楽です。セッションの基礎を身に付け、より深くブルースを楽しみましょう。

guitarblowブルース・セッションとは?
まずは、ブルース・セッションについて少しお話をしておきましょう。「セッション」とは「複数の人間で行う活動」を意味する言葉で、音楽の世界では、2人以上のプレイヤーが同時に即興で演奏をすることを指します。各々の演奏に反応しながら、アドリブで合わせていくのが「セッション」の特徴です。「セッション」には、打ち合わせなしの完全にフリーなものもあれば、先にある程度の決まりごと(コード進行や構成など)を設定しておくものもあります。「ブルース・セッション」は「ブルース」という音楽の様式に則って、進められる「セッション」のことで、完全にフリーな「セッション」とは異なります。これから説明していきますが、ブルースには定型のコード進行があり、「ブルース・セッション」ではそのコード進行の中で「セッション」をしていきます。ブルース・セッションはライブ・ハウスやブルース・バー等で時折開催されており、だれでも自由に参加できるスタイルで行なわれています。

guitartvセッションをする前に、覚えておきたいこと
ブルースは、他ジャンルに比べると、音楽的に非常に単純な構造をしています。そのため、初めて会った人でも、初心者でも、気軽にセッションをすることができます。しかし、いくらセッションがしやすいといっても、何も解らない状態で、いきなり他のプレイヤーと演奏をするのは難しいでしょう。セッションを楽しもうと思ったら、まずはそれなりの準備をする必要があります。ブルースには、いくつかの決まりごとがあり、その決まりごとの中でセッションが行なわれます。セッションを行なうプレイヤーは、皆この決まりごとを覚えており、その中でプレイをしているわけです。バンドでの演奏は各プレイヤーの共同作業ですので、共通の認識を持つことが大切なのですね。

guitarmustブルース・セッションでの決まりごと
まず始めに覚えておきたいことを、以下の項目にまとめてみました。まずは、この2つの項目を良く理解しておきましょう。

ico_num5a_1ブルースのコード進行を理解する
ここが最も重要な部分です。まずは、コード進行のフォーマットを覚えます。ブルースはコード進行がある程度決められています。セッションをプレイする人は、100%このコード進行を暗記しています。そのため、初顔合わせでも演奏が成立するわけです。では、具体的にどのようなコード進行なのでしょう。相対的に解釈しやすいように、まずはKey=Cのブルース進行からみてみましょう。

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特徴となるのは「4小節x3段の12小節が1コーラス」ということです。大体のブルースはこの12小節1まとまりのコード進行で構成されています。「クロスロード」や「スイートホームシカゴ」のような有名曲を見ても、同じように12小節で進行しているのがわかります。

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コードは3つ、全て7thコードを使っている。「スリーコード」と呼ばれる3つのコードを使っています。Key=Cの場合、C7をトニック(I7と表します)、F7がサブドミナント(IV7と表します)、G7がドミナント(V7と表します)と呼びます。「I7 IV7 V7」この3つが相対的なコードを表す表記になります。では、相対表記でブルース進行を書いてみましょう。

iivv

この相対表記の進行をしっかり覚えておきましょう。これは、Keyが変わっても相対的に同じ進行をしていることを表しています。例えばKey=Eだったら、I7=E7、IV7=A7、V7=B7になります。対応表を以下に記しておきます。これで、どんなKeyでも弾く事ができますね。

Key I7 IV7 V7
C C7 F7 G7
D D7 G7 A7
E E7 A7 B7
F F7 Bb7 C7
G G7 C7 D7
A A7 D7 E7
B B7 E7 F#7
Db Db7 Gb7 Ab7
Eb Eb7 Ab7 Bb7
Gb Gb7 Cb7 Db7
Ab Ab7 Db7 Eb7
Bb Bb7 Eb7 F7

ブルース・セッションでは、リードを取る楽器、やボーカリストにKeyを決める権利があります。ギターはそれらリード楽器にキーを合わせて弾かなければなりません。指定されたKeyで直ぐに演奏できるように、相対で表したコード進行と、各キーの対応をよく覚えておきましょう。

Key=Eのコード進行を載せておきます。I7→E7 IV7→A7 V7→B7 となりますね。相対表記と対応表をよーーく見てコード進行をしっかり理解しておいて下さい。

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ico_num5a_2基本のバッキング・パターンを覚える
ブルース・セッションを行う際、ギター・ソロを弾く以外は、バッキング・プレイに終始します。アドリブが上手く出来なくても、バッキングが出来ればひとまずセッションをすることが出来ます。ここでは、最も一般的なブルースのバッキング・パターンを紹介します。まずは、「ブルースのコード進行を理解する」の項目で学んだKeyCのブルースで、バッキングを弾いてみましょう。cblues-eps-aiguitarsg1定番のリフ
ウォーキング・ベース、ボトム・リフなどと呼ばれる、定番のリフです。戦前の「カントリーブルース」の時代から、このバッキング・パターンは多用されてきました。今日では、モダンなエレクトリック・ブルースでも常用されるパターンですが、ピアノ・ブギからロバート・ジョンソンがギターに置き換えたのが最初といわれています。まずは、このバッキング・パターンを手に覚えこませ、しっかりと「シャッフル」のリズムでプレイ出来るようにしておきましょう。

各コードのパワー・コード(人差指にルート音、薬指に5度音)を基点にし、小指で6度音を加えていくという規則的なパターンです。小指で6度音を弾く際、2フレット下の薬指は離弦させず、押弦の状態を維持するのがポイントです。

guitarblowKey=Eのバッキング
次に、このバッキング・パターンをKeyEに当てはめて弾いてみましょう。KeyEは、ギターでブルースをプレイする場合、最も多く演奏されるKeyになります。
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基本はKeyCと同様、各コードのパワー・コードを基点にします。ただ、KeyEの場合、E7では6弦開放音、A7では5弦開放音がルート音となりますので、その2つのコード上では、人差指と薬指のみでバッキングすることが出来ます。また、B7では、5弦2fがルート音となり、非常にワイドな小指のストレッチ・フィンガリングが特徴です。そのため、B7上では、単にパワー・コードのみでリズムを刻む場合もあります。

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バンドでのセッションの場合は、エレキ・ギターでピックを使ってプレイするのが中心になります。2本の弦をまとめてピッキングしますが、両方の弦がなるべく同じタイミングかつ、均等な音量で鳴る様にピッキングをコントロールしましょう。手首のスナップを使い、素早くピッキングすると各弦がまとまってひとつの音に聴こえるようになります。また、初心者は低いほうの弦が強く鳴りすぎる傾向にありますので、しっかり2本の弦をまとめてピッキングする意識が大切です。

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このリフを弾く際は、ブルース独特の「シャッフル」というリズムで弾く必要があります。リズムは音楽を演奏する上で、非常に重要な要素です。リズムの違いで、演奏の印象がずいぶん変わってきます。「ブルース」らしい演奏をするには「シャッフル」のリズムが必須です。

ico_star2_10シャッフル
ブルースは、「シャッフル」という独特のリズムで演奏されます。そもそも「シャッフル」とはどのようなリズムなのでしょうか?シャッフルのリズムは「跳ねる」という言葉で表現されることが多く、躍動感がありダンサブルなビートのことを言います。具体的には、2つの連続した8分音符を等間隔に演奏せず、裏拍にあたる音符より、表拍にあたる音符をより長く演奏します。表裏、2つの音符の長さの比率は、テンポによって若干変わります。どんなテンポでも、8ビートとは違う「跳ねる」感じが出せればとりあえずはOKでしょう。「タタタタ…」が8ビートだとすると、シャッフルは「タッタタッタ…」という跳ねたリズムになります。%e3%82%b7%e3%83%a3%e3%83%83%e3%83%95%e3%83%ab

ブルース・セッションをするにあたって、まずはバッキングをしっかり弾けるようにしておきましょう。リード・プレイに関しては次回に解説いたします。

ブルース講師 武谷

guitarブルースギター専門コース開講中

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