ブルーグラス・ギターに適したピック

ブルーグラス・ギターに適したピック

アコギ、エレキに関わらず、ギターにおいては、より良い音質や弾き心地を追求する中で、ピックの研究は欠かせません。ここでは、「ブルーグラス・ギターに適したピック」という観点で、手に入り易いピックを中心に、厚さと形状に着目して、オススメのピックを選んでみようと思います。

ブルーグラス・ギターで求められる音
まず、前提としてブルーグラス・ギターではどのような音が求められるのかがわかっていなくてはいけません。ソロでブルーグラス・ギターをプレイする場合は別ですが、バンドでプレイする場合は、バンジョーやフィドルなど、音量が大きな楽器と生音で対抗しなければならない場面が出てきます。その際に、抜けの悪い音だとリードが全く聴こえないという事態に陥り、せっかくのプレイがオーディエンスに十分に伝わりません。よって、ブルーグラス・ギターでは、アンサンブルの中でしっかりと抜けるミッド・レンジが厚い音であるのと同時に、粒立ちが良く、1音1音がハッキリとしたストレートな音が求められるのです。
※余談ですが、バンジョーやフィドルに負けないような大きな音を出そうと、限界まで力を入れてピッキングするブルーグラス・ギタリストがいますが、音量と抜けの良さは別物です。抜けの良さは、ミッド・レンジの厚みであり、ピックを変えることで、ある程度解消出来るものなのです。

ピックの厚さ
ミッド・レンジの厚さは、ほぼイコールでピックの厚さに比例します。ピックが厚いほど、ミッドにフォーカスしたサウンドになりますが、厚すぎると逆に扱いづらくなります。また、粒立ちの良さは、ピックと弦との接点(ピックが弦に当たる角度など)に影響されるので、弾き方もかなり重要なのですが、薄いピックに比べるとやはり厚いピックのほうが、粒立ちの良いストレートな音になりやすいでしょう。ピックは弦に当たる瞬間にしなりますが、厚いピックよりも薄いピックの方ががしなるので、薄いピックの場合は弦とピックが接触している時間が長くなり、その分ピックと弦が擦れる音が乗り易くなります。

ピックの形状
ピックの形状は、そのまま弾きやすさに直結します。これは、かなり個人差がある問題で、トライアングル型が弾き易い人もいれば、ティアドロップ型が弾き易い人もいるので、一概にどの形状がベストとは言い切れません。しかし、ピックを握った時、ピックの先端が1cm未満しか出ない小さめのピックはあまりオススメできません。ピックが小さいとピッキングの際、弦に指や爪が当たる可能性が増えてしまいます。弦に指や爪があたると、弦振動を阻害してしまい、綺麗な響きにはなりません。雑味のないストレートな音が好まれるブルーグラス・ギターでは、ピックの先端を1cm以上出してプレイするのが好ましく、また、それが可能なピックを選ぶのが良いでしょう。

おすすめピック3種
手に入り易いピックで、オススメのものを紹介します。楽器店などで、一枚100円~購入出来るものを中心に選んでみたので参考にしてもらえればと思います。ちなみに、ピックの厚さは最低でも1mm、出来れば1,5mm~2mmくらいがオススメです。

ティアドロップ型typeA

一般的なティアドロップ型のピック。エレキでもアコギでもオールマイティーに使えるので、迷ったらとりあえずコレにしておけばOKです。厚さは最低でも1mm、個人的には1.5mm以上がオススメです。

トライアングル型

一般的なトライアングル型のピック。ティアドロップ型よりも大きく、ピックの先端が出易いため、ブルーグラス的なピッキング・フォームでプレイすると、ティアドロップ型よりもトライアングル型のほうが弾き易いというプレイヤーも多くいます。また、角の3点全てが使用できるため、他のピックに比べかなり経済的です。

ティアドロップ型typeB

一般的なティアドロップ型よりも、先端が尖っているのが特徴のピック。弦に先端が少しかするくらいでも音が出るので、個人的にはtypeAよりも弾き易く感じます。市販では1mmくらいまでの厚さしかないため、強くオススメは出来ませんが、弾きやすさはピカイチで、初心者はまずこれを使ってみるいいと思います。

おすすめ高級ピック
ジム・ダンロップ プライムトーン

クリアなアタック感と、高い耐久性を併せ持つウルテックス素材で製造されたピック。手作業で一枚一枚エッジを磨き上げており、弦との抵抗が少ない滑らかなピッキングを可能にしています。ピックは様々な形状があり、厚めのもが多く、最高3mmまであります。自分にあった形状、厚さのピックをチョイス出来るのが良いところです。ちなみに、筆者はトライアングル型1.5mmを愛用しています。
価格は、320円~450円くらいで、店頭で販売しているところはほとんどないため、(関西方面の楽器店で入手しやすいそうですが、)気になる人は通販でゲットしましょう。

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ブルー・チップ

世界中のあらゆるジャンルのギタリストから高い評価を得る、フラット・ピックの王様。そのサウンドは、芯が太く、伸びがあり、無駄なキラキラは一切ない正直でストレートなトーン。特殊素材で作られ(素材は公表されていません)耐久性が高く、エッジの処理も丁寧なので、弾きやすさも申し分ないという、ブルーグラス・ギターをプレイする上では、理想のピックと言えるでしょう。
ただ、日本国内で販売しているのは極めて限られたショップのみで(こちらも、関西方面の楽器店で入手しやすいそうです)、販売価格は現時点で6,480円とかなり高価。元々本体の値段も高いのですが、アメリカからの輸入になるので、送料なども上乗せされ、あり得ないほど高額なピックになっています。お金に余裕のある方は、是非試してみてはいかがでしょうか。

BlueChipPicks → http://www.bluechippick.net/

まとめ
結論として、ブルーグラス・ギターをプレイするにあたっては、ティアドロップ型かトライアングル型で1,5mm以上の厚みがあるピックを選ぶのが良いでしょう。やはりピックの厚さがサウンドに与える影響は無視出来ません。ピックの形状は、個人の感覚で弾き易いものを選んでも良いと思いますが、必ず分厚いピックを選んでおきましょう。また、個人的には、手に入り易くかつ音質も素晴らしいという理由で、ジム・ダンロップのプライムトーンを強くおすすめしています。プライムトーンは種類が豊富なので、色々と弾き比べる中で自分に合ったものがきっと見つかるでしょう。