スチールギター スラント・ポジション

スラント・ポジションについて
スチールギターのバーの使い方には、幾つかのテクニックがあります。通常の構えに慣れてきたら、スラントの練習をしてみましょう。

スラント・ポジション
スチールギターの演奏は、バーを左手に持って弦長をコントロールしています。バーの使い方の基本は、同一フレット上に平行に構えることにあります。しかし、常に平行でいると、発音させる事のできる音の組み合わせに限りができます。そこで、バーをフレットに対して斜めに構える事で、異弦、異フレットの音を鳴らそうと考え出されたのが「スラント・ポジション」というバーの使い方です。下の譜例のように、異なるフレットでバーを構えます。高音弦側が高いポジション、低音弦側が低いポジションになることをスラント・ポジションと呼び、逆に高音弦側が低いフレットになることをリバース・スラントと呼びます。今回、リバースは取り上げません。

スラント1

スラントのバーの持ち方
バーを斜めに構えます。通常のポジションから、親指の関節を曲げて、バーの根元を手のひらの方に押すようにします。バーの先端を軸に回転させる要領です。この時、人差指はもとより、中指もバーに添えるだけにして、力を抜いておきます。人差指は、指先だけをバーの先端辺りに付け、軽く曲がります。この動きは意識しないでも、力が抜けていれば自然とできるはずです。バーの角度は、親指の押し込み具合でコントロールします。左手の手套は弦に置いたまま、ミュートを外さない事がポイントです。バーを動かす事に意識が向き過ぎると、手が浮いて余弦のノイズがでます。充分注意しておきましょう。

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▲スラントする前

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▲スラントする。親指でバーをコントロールしている

バーを戻す
スラント・ポジションで常時弾き続ける事はないです。必ず元に戻すので、戻しもスムーズにできるようにしておきましょう。バーを戻すときは、中指で押し込むようにしてバーを動かします。やはりバー先端の位置は動かずに、軸として回転させます。中指とバーが平行になるように中指の側面をバーの側面に押し付けるようにすると、バーが回転します。親指は力を抜いて、通常ポジションになったら添えます。左手のミュートを忘れずにしておきましょう。

スラントの角度
スラント・ポジションは、弾くフレットの位置や、使う弦によってバーの角度が変わります。ロー・ポジションは角度が大きく、ハイ・ポジションに移るにつれ、角度が緩くなります。弦は、近い弦を使うほうが角度が急になります。この角度の違いは、フレットの線を見て確認するのではなく、鳴った音程を耳で聴いて確認しています。チューナーを繋いで、音程を視覚的に確認しても、決して上達しません。慣れないうちは、上手い人のCD等と合わせて練習してみましょう。

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▲2弦と4弦で1フレット間隔のスラント・ポジション

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▲2弦3弦の1フレット間隔。角度が急になるのがわかる

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▲ハイポジにいくに従って角度が緩くなる

スラントの練習
スラント・ポジションを使うと、様々な音程を組み合わせ、操る事ができます。同一フレットで鳴らすことの出来なかったハーモニーを得る事ができるので、演奏の幅がかなり広がる事になるのは容易に想像ができるでしょう。実際のフレーズを使ってスラントの練習をしてみましょう。

練習のポイント
ico_num5a_1バーをスムーズに動かす
ico_num5a_2バーをスムーズに戻す
ico_num5a_3バーの移動時にミュートを外さない
ico_num5a_4音程を良く聴き、バーの角度とフレットの間隔に慣れる

Ex-1 スラント・ポジションの練習をしましょう。4音目がスラントになります。音程を良く聴いてバーの角度に慣れるようにしましょう。

スラント3_2

Ex-2 隣合った弦でのスラントは、バーの傾けが大きくなり、音程が不安定になりやすいです。音程に注意して練習してみましょう。

スラント2_2

Ex-3 実践的なアプローチでの練習です。流れよくフレーズが弾けるように。バーは勢いで動かすのではなく、指先で繊細にコントロールできるようにしておきましょう。

スラントExAlohaOe_2

まとめ
スラント・ポジションをマスターすると、プレイの幅が大きく広がります。スラントを使いこなす為には、ある程度範囲を決めて練習をするといいでしょう。まずは、1フレット間でのスラントをマスターして下さい。使う弦は、2-3弦の組み合わせと、2-4弦の組み合わせです。コレだけで大体の事はできます。Exがそのヒントになるでしょう。スラントはコード・プレイでも多用されます。スチールギターはコード・フォームに制限があるため、スラントが活用できると、色々なコードを弾く事ができます。しっかりマスターしておきましょう。

金髪センセー

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