スチールギターのアンプ

スチール・ギターのアンプについて
Steel Guitar Amplifier
スチール・ギターで使うアンプに付いて見てみましょう。スチールギターはエレキ楽器ですので、アンプを使って音を鳴らします。アンプには色々な種類があり、用途や使う環境、出したい音によって機種を選らばなければなりません。アンプによって音色は大きく変わり、プレイ面にも大きく影響を及ぼします。では詳しく見てみましょう。

ギター・アンプ
スチール・ギターで使われるアンプはギター・アンプです。スチール・ギター専用のアンプもありますが、極限られた機種になりますので、一般的には通常のエレキ・ギターで使われるアンプを使えば良いです。特殊なモノとして、ベース用のアンプを使うこともできますが、ステレオ用、オーディオ・アンプを使用することはできません。ギター・アンプは様々な機種が販売されています。スチール・ギターで使うのはどのようなモノが良いのか見てみます。

スチールギターで使うアンプについて
スチールギターで使うアンプは次の2つを目安に選びます。

「クリーン・トーンが綺麗に鳴るアンプ」
通常のエレキ・ギターでは、アンプをドライブさせた歪みサウンドを重視するモノが多いです。スチールギターでは歪みサウンドは使用しないので、クリーン・トーンを重視した機種を選んだ方が良い事になります。

「リバーブが付いている」
リバーブが搭載されているアンプを選びましょう。安価なアンプにはリバーブが付いていないモノもあります。リバーブはスチールギターにとって、とても大切なエフェクト効果なので、あらかじめ付いている機種を使うのが良いでしょう。

アンプの大きさ、ワット数について
アンプの大きさは、実際に鳴る音量に直結しています。アンプの大きさが大きければ、大きな音が鳴ります。アンプは電気的な部分で音量を上げているのですが、アンプ本体の共鳴、箱鳴りによって音量を上げている要素も大きく影響しているのです。アンプの大きさは使う環境、使い方によってそれぞれ選ぶ必要があります。

例えば、自宅で練習をすることができれば良いというのであれば、小型アンプで良いです。横幅が20cm~30cm位、5w~20w位の小型アンプを選ぶと良いでしょう。演奏会や小さなホールで、バンド演奏をしたり、発表演奏をしたりする場合は、もう少し大きめの横幅が30cm~40cm位、30w~60wクラスのアンプを使いましょう。野外での演奏、コンサート・ホールでの演奏になると大型アンプが良いです。80w~200w位が理想ですが、かなり高額になるため、中型アンプくらいでPAを使う事が現実的かもしれません。

アンプのワット数とは、アンプの要領を表すモノと思っておきましょう。要領が増えるに従って余裕がうまれるため、音量を上げても音がクリアで歪みの無いものになります。スチールギターではクリーン・トーンを使いますので、できるだけ要領の大きいアンプを使う方が、クリアな音質を保ったまま音量を上げる事ができます。ワット数が高いと音量が大きい訳ではないので、注意しておきましょう。

ギターアンプの種類
では実際にどのようなアンプがあるのかを見てみましょう。ここではあくまでスチールギターでの使用を前提にしています。品評はアンプそのものの評価ではないです。


VOX  MINI5-RM-CL (★☆☆☆☆)
AC-30で有名なVOXの小型アンプです。リバーブを初めとする各種エフェクト、リズムマシン、チューナー、アンプシュミレーター、外部入力と、多くの機能が付いていて使いこなすのは大変です。各機能を全て理解できていればいいのですが、設定や使いこなしは難しいですね。音は名機であるAC-30の音を継承している訳でもなく、可もなく不可もなくです。かなり小型なので、自宅での練習にはいいでしょう。


ROLAND JC-22 (★★★☆☆)
クリーントーンに定評があるJC-120の小さい版です。本家JC-120の音を忠実に継承しており、抜けるようなトーンと使いやすさは抜群です。リバーブは内臓していないので、用意する必要がありますが、コーラスが搭載されており、本家JC-120と同様に澄んだ音の綺麗なコーラスがかかります。EQは範囲が広く繊細な音作りが可能です。外部端子も充実しており、練習からちょっとしたライブまで使う事ができるでしょう。若干、線の細い音であるため、好みは分かれる所かもしれません。


FENDER Super Champ X2 (★★★★☆)
名機Super Champの後継機。オール・チューブの本格的なアンプです。フェンダーらしい抜けのあるクリーン・トーン、パンチの効いた中域はスチールギターのプレイにもマッチしています。エフェクトも充実しており、練習からちょっとしたライブまで使う事ができるでしょう。15Wのわりに音量を上げてもしっかりとした輪郭を保つことができ、外部エフェクトを繋いでも音が細くならない芯のしっかりした音が特徴です。


FENDER MUSTANG II (★☆☆☆☆)
安価なフェンダーアンプとして多く出回っている機種です。多くのエフェクターとアンプシュミレーターが搭載されており、初心者には使いにくいですね。アンシュミは沢山付いていますが、スチールギターで使う事の出来るのは2種類位です。フェンダーらしいトーンというよりは、色々な機能や音色を1台に納めたアンプと言えるでしょう。


YAMAHA THR10 V.2 (★★☆☆☆)
電池駆動ができ持ち運びに便利なアンプです。歪みサウンドに重点が置かれていますが、クリーン・トーンでの使用も充分使えます。YAMAHAらしい独特な中域の鳴りは好みの分かれる所ですが、メモリー機能等を活用すれば便利に使えるでしょう。自宅練習はもとより、持ち運びの多い方にはお奨めです。


ZT AMP Lunchbox (★★★☆☆)
20cm位の超小型アンプなのに200wの出力を誇るアンプ。コントロールもシンプルで使いやすく、大きさの割りに驚きのパワーを備えています。Anbienceの効果が難しい所と、リバーブが搭載されていないが、スチールギターのサウンドにもマッチし、実用的な使いやすさで高評価です。重量が軽いのも持ち運びにはうれしいところ。外部スピーカーに繋いでもプリ・アンプの精度がしっかりしているので、充分使える音になります。


FENDER ’65 DELUXE REVERB (★★★★★)
いわずもがなフェンダーの名機。パワーのあるクリーントーンと深みのあるトーン、広がりのあるリバーブでありつつ抜けのあるサウンドは文句なしです。スチールギターとの相性もよく、野外コンサートから大ホールまで何でもこなせる1台です。フェンダーのこのクラスのアンプは、大体どの機種を使っても良いですので、後は個人の好みになるでしょう。


FENDER ’59 BASSMAN LTD (★★★★☆)
ベースアンプですが、独特なクリーントーンを鳴らすアンプです。万人受けする訳ではないですが、芯のある深いトーンでスチールギター・サウンドにもってこいです。ベースアンプなので、リバーブは搭載されていません。


FENDER Steel King (★★★★★)
Fenderのスチールギター専用アンプ。200wのパワー、フェンダーらしい高域の抜けるサウンドが特徴です。ツインリバーブ等でお馴染みの透き通るようなスプリング・リバーブと、コンプレッサーが内蔵されています。Peaveyに比べて中音域の深みに欠ける分、高域の突き抜け方は抜群のアンプ。オールド・カントリーやペダル・スチールには特にマッチする音色です。


PEAVEY Nashville1000 (★★★★★★★)
スチールギター用の最高峰アンプといえばコレです。300Wの出力、クリアなリバーブ、ハリがありつつ甘いトーンを奏でることが出来ます。4バンドのEQのうち、Midは中心周波数をセレクトでき、音色セッティングの幅が非常に広く、好みの音色を作りやすいです。また、入出力が充実しており、Pri Send/Return、Post Send/Returnにより、エフェクターを直列接続しても音痩せせず、セッティングしやすいのも特徴です。ラップ・スチールからペダル・スチール、カントリーからウエスタン、ハワイアンなんでもこなすことができる1台。


アンプのコントロールについて
アンプには幾つものツマミが付いていて、自分なりに音色を作る事ができるようになっています。コントロールつまみの意味をしっかり理解しておくことは、アンプを使いこなす上で重要なことになります。つまみの名称はメーカーによって若干異なりますが、一般的に多く使われている名称で解説していきますので、しっかり覚えていきましょう。

Treble/HIGH(トレブル/ハイ)
高音域を調整するツマミです。ハイとトレブルは機種によって表記が違いますが同じ意味を表しています。ツマミをあげると(10に近づける)高音域が強調されていきます。音の抜け具合を調整するようなイメージです。あまり上げすぎると耳障りなキンキンした音になり、下げすぎると音がこもり、抜けが悪く周りの音に埋もれたサウンドになります。

Middle/MID(ミドル/ミッド)
中音域を調整するツマミです。ミドルとミッドは機種によって表記が違いますが同じ意味を表しています。スチールギターでの調整で、最もシビアな部分ですのでしっかり調整したい所です。ツマミを上げると中音域が突出して音が前に飛び出たような音になります。下げると少しずつ奥に引っ込んでいきますが、上げすぎるとモコモコした音になり深みも広がりもなくなります。ギター・サウンドの中核となる部分ですのでツマミを少しずつ動かして微調整をしながら、頃合いのポイントを探してみましょう。

Bass/LOW(ベース/ロー)
低音域を調整するツマミです。ローとベースは機種によって表記が違いますが同じ意味を表しています。スチールギターの演奏は低音域を重視することは少ないので、少し控えめに抑えておいてもいいでしょう。C6ペダルスチールでの演奏はベース音を重視したコードプレイ等も多いので、そのような時は慎重に調整する必要があるでしょう。

Gain(ゲイン)
アンプの入力感度を調整するツマミです。上げるとアンプがドライブしていき歪みます。多くのギターアンプは通常のギターを歪ませて使用することが前提で作られているので、ゲイン調整ができるようになっていますが、スチールギターでの使用の際には歪みは必要ないので、Gainは極力下げておきます。しかし、ゲインは音量にも干渉するので、下げきってしまうと音は鳴りません。あまり下げすぎると、入力段で音が細くなってしまうので、歪みが起きないギリギリの所まで下げるようにします。

Master/Volume(マスター/ヴォリューム)
マスターとヴォリュームは機種によって表記が違いますが、概ね同じ意味を表しています。単純な音量調整ツマミと思っておきましょう。音量はGainとの兼ね合いによって変わりますので、Gain調整と合わせて行ないます。Gainを抑えていてもMasterを上げることで歪みが起きたりもします。Gainを2位にしておき、Masterで音量を決め、再度Gainを歪みが起きないギリギリのポイントにして、最終音量を再度Masterで決めるようにします。

Reverb(リバーブ)
リバーブ(残響)を調整するツマミです。通常アンプにはスプリング・リバーブというユニットが搭載されていますが、デジタル・リバーブ回路が搭載されているものもあります。デジタル・リバーブにはHall、Room、Spring、等の種類があります。スチールギターではリバーブを多めに掛けておく方が、広がりのある綺麗なサウンドになるので、思い切って多めにしておくといいでしょう。

外部端子について
アンプには様々な外部入力が付いています。これらは、アンプにギター以外の機器を繋いで、アンプを更に活用するために付けられています。外部端子を活用することで、アンプの性能をフルに使用することができますので、その機能をしっかり覚えておきましょう。

AUX IN
外部入力端子です。idopやCDプレイヤーを接続して、その音をギターアンプから鳴らすことができます。カラオケの収録されたCDを繋いで合わせて演奏したりする事ができます。

Phones
ヘッドホンを繋ぐ端子です。ヘッドホンを繋ぐ事でアンプのスピーカーからの音は鳴らなくなり、ヘッドホンで練習をする事ができるようになります。

Send(センド)
ポスト・プリアンプの出力端子です。エフェクターを繋ぐ時にココからエフェクターのINPUTへ繋ぎます。主に空間系、モジュレーション系のエフェクターを使う時に有効です。

Return(リターン)
SendからエフェクターのInputへ繋ぎ、エフェクターのOutputからこのReturnに繋ぎます。ポスト・パワー・アンプの入力端子です。

アンプ接続の仕方、注意
アンプをギターに接続する場合は、スチール・ギターのジャックからアンプのINPUTへシールド・ケーブルを使って繋ぎます。アンプには色々な端子が付いているので、繋ぐ場所を間違えないようにしましよう。

ケーブルの抜き差しをする際には、アンプの電源を必ず切った状態で行ないます。従ってまず初めは、ケーブルを挿してアンプの電源を入れます。演奏が終わったら、アンプの電源を切ってからケーブルを抜くようにします。この順序を必ず守らないと、アンプに負担がかかったり、急に大きな音が出たりする事がありますので、充分注意しましょう。また、ケーブルの抜き差しの際には、ギターのボリュームを絞っておくようにしましょう。これも急激に大音量がでる事を防ぐためです。

金髪せんせー


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