スチールギター Amチューニングについて

スチールギター Amチューニングについて

スチールギターのチューニングはいくつもあります。演奏者によって使うチューニングが違うこともありますし、演奏する曲によって変えることもあります。本サイトでは主に「C6チューニング」を前提に話をしていますが、ここでは「Amチューニング」について少し見てみましょう。

Amチューニング
まずは、チューニングを確認してみましょう。Amチューニング(エー・マイナー・チューニング)は1弦から「ECAECA」とチューニングする方法です。1~3弦と4~6弦がオクターブ違いの同じ音程になるため、ポジションが分りやすくなると言うのが特徴になるでしょう。開放弦を弾いた時にAmコードが鳴ることになります。

Amチューニングの特徴
AmチューニングとC6チューニングの違いは、4弦にG音の弦が挟まるかどうかです。C6チューニングは、Amチューニングの3弦と4弦の間に1本弦を入れて、これをG音にチューニングし、本来あったE弦とC弦を1段下げたものになります。C6チューニングは、4弦の1本を追加しただけですが、このG音の1本がスチールギターにとっては大事な弦になりま。また、このG弦が、スチールギターの難しになっている要因でもありますし、スチールギターの魅力的な響きの要因でもあります。Amチューニングは、この大事な弦が無く、その分シンプルになっているとも言えますが、この弦が無い事により、かえって難しくなる部分も持ち合わせています。

Am 音程 C6
1弦 E 1弦
2弦 C 2弦
3弦 A 3弦
G 4弦
4弦 E 5弦
5弦 C 6弦
6弦 A

Amチューニングでメロディーを弾く
Amチューニングで演奏する場合とC6やその他のチューニングで演奏する場合、どのような違いがあるでしょう?まず、メロディー演奏での違いを見てみましょう。メロディー演奏とは、旋律を単音で弾く事とします。単音で弾く限りにおいては、他のチューニングで弾く場合と違いはありません。チューニングが違うわけですので、ポジションや弾く弦に違いはありますが、弾き易さ等の違いも殆どありません。曲によって弾きやすい、弾き難いは多少あります。しかし、これは他のどのチューニングにおいても言える事なので、Amだがらどうと言う事ではありません。

旋律を単音で弾く場合、どのチューニングで弾いても、違いはさほどありません。

Amチューニングでコードを弾く
Amチューニングでコードを弾く場合を見てみましょう。Amチューニングでは開放弦を鳴らすと全てAmコードのコード・トーンになります。開放弦と12フレットは1オクターブ離れていますので、12フレットもAmコードになります。マイナー・コードのポジションは、以下のように各フレットにあてがわれています。スラントや開放弦を混ぜた特殊な奏法を用いらない限り、Amチューニングで弾く事のできるコードは、以下のようにマイナー・コードだけになります。

マイナー・コードだけで弾き切ることのできる曲というのは、巷に溢れる音楽の中には殆どないでしょう。1曲の中にはマイナーやメジャー、7thコードを駆使して曲が構成されています。これらメジャー・コードや7thコードはAmチューニングで弾く事はできませんので、それぞれ代用品となるコードを弾いて「それらしい響きにする」いう事になります。

代用品でそれらしく弾いているだけなので、スチール・ギターだけで演奏していると、違和感を感じる部分が多くあります。特にメジャー・キーの曲は、スチールギターの独奏のような、バンドでのプレイを想定しない場合には、かなりコードに違和感のある演奏になります。バンドで他の楽器と一緒に演奏すれば、この違和感はなくなります。まったくなくなるわけではないですが、返ってスチール・ギターらしい響きが得られることもあります。また、バンドの編成や曲によっては、違和感が増すこともあります。一概にと言える事ではありませんが、コード演奏に関して言えば、どんな曲でも、どんな状況でも、自由にフレーズを弾く事ができると言うわけでは無いです。

Amチューニングのメジャー・コード
Amチューニングでメジャー・コードを弾く場合、スラントや開放弦を交えた特殊なフォームを使わない限りは、その代用となるコードを弾く事になります。具体的にはAm=Cと考えて弾く事になります。Cコードを開放弦(12フレット)として、それぞれ以下のように代用品を立てていきます。これらの関係は、平行調の配列と同じですね。C6=Am7ですので、Cコードの代理コードとしてAmコードがあります。これを代理コードと呼びますが、この代理関係を常に弾く事になります。F#m=A、C#m=Eになります。

Amチューニングの7thコード
7thコードは更に複雑になってきます。Am=Cと考えますので、C7コードを鳴らしたい場合は、Amコードを弾けば良いですが、これでは7thの要素は得ることができません。そこで、Bbコードと組み合わせて7thの要素を得るという弾き方をします。BbコードはGmの代理なので、C7=Am(C)+Gm(Bb)と言うことになります。この関係を全てのコードに当てはめます。A7=F#m+Emですね。Bb7=Gm+Fmになります。頭の中だけでこれらを変換するには、かなりの慣れが必要です。

メジャー・コードと同様にやはり単体のスチール・ギターだけの演奏になると、響きに違和感を感じることがあります。厳密には7th、9th、13thのテンションが加わる事になるので、曲によっては合わない事もあるので注意して下さい。

上の譜例はAmチューニングにおけるG7コードでのプレイです。G7コードに対して、Emコードの7フレット、Dmコードの5フレットを行き来しているのが分かると思います。このように、2つのコード・ポジションを組み合わせることで、G7らしい響きを得ることが出来ます。

Amチューニングでハーモニーを弾く
メロディーにハーモニーを入れる場合は、基本的にはコード・トーンを追う事になります。従って、マイナー・コードのポジションを中心に弾くこのチューニングで、ハーモニーを入れる際には、メロディーを弾くポジションに注意が必要です。特にメジャー・コードをバックに弾く場合には、そのコード・トーンを理解しておく必要があることを覚えておきましょう。

Amチューニングが特化している点は?
Amチューニングはマイナー・キーにおいて、マイナー・コードを多用する場合に、ポジションをシンプルに捉えられると言う点で楽に弾ける事があります。しかし、先述した通り、Amチューニングに1本弦を間に挟んだのがC6チューニングになります。従ってAmに弾けて、C6に弾けないものは無いです。逆に、C6に弾けてもAmに弾けないものは沢山ありますので、どうしてもAmチューニングに固執しなければならない状況でもない限り、Amチューニングを選ぶ必要は無いでしょう。また、今後色々な曲を弾いていきたいと考えているならば、情報も比較的多いC6チューニングの練習を初めからやることをお奨めします。

また、Amチューニングは7弦以降の多弦には不向きなチューニングです。Amチューニングの延長で弦を増やすことは殆どありません。多弦への以降を考えている方は、初めからC6チューニングで練習をしてみると良いでしょう。

Amチューニングの演奏
実際にAmチューニングでの演奏を見てみましょう。1弦から「ECAECA」にチューニングして弾きます。コードの響きに注目して弾いてみて下さい。

金髪センセー

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