スチールギター レビュー Guyatone HG-306

中古市場で入手がしやすい「Guyatone」のスチールギターについて見てみたいと思います。あくまで個人的な見解も多く含まれていますので、よろしくお願いします。

まず、この機種が中古市場で多く見られるのは、生産台数がとても多かったことに起因していると言えます。何故、生産台数が多かったのかを考えると、値段と性能のバランス、いわゆるコスパが良く、沢山売れたからなのでしょう。ようするに、クオリティーが高く、その割りに値段が安かったと言うことですね。これはスチールギターに限って言えることではないですね。と言うわけで、この楽器は、値段の割りに楽器としてのクオリティーはそこそこ良いです。

▲6弦、2PU、2wayセレクターSW、3本足仕様です。

楽器の音と言うのは、色々な要素が絡み合って作られています。スチールギターの音に影響する要素、それぞれの点について見てみます。

その1「ボディーの材質と形状、重量」

スチールギターは主に木で出来ています。というより、ギターは殆ど木で出来ています。従って、木の材質と形状が楽器の音に及ぼす影響は大きいです。ギターの弦振動はピックアップによって電気信号に変えられますが、弦振動そのものが、ボディーの木に共鳴していますので、ボディーの存在はとても重要です。HG-306のボディーの素材は何だかハッキリ解りません。塗装をはがして調べれば大よそのことは解ると思いますが、正確ではないので素材に関しては、まーそそこの素材を使っていると予想しておきましょう。形状としてはごく一般的なコンソールタイプのものより、若干奥行きがないスマートな形状と言えるでしょう。6弦ということを加味しても、ボディーの幅に余裕が一切無いすっきりとしたデザインです。しかし、ボディの厚みは5cmと充分確保されています。奥行きは12フレット近辺の幅を計ったところ11.5cmでした。

▲ 真横から見たところです。ボディの厚みは5cmありました。

この厚みは、足を取り付ける事ができるようにするため設けられていると言うことでもありますが、厚みが音に及ぼす影響も考慮して設計されているものでもあるでしょう。

▲ 3本足を取り付けたところ。4本足に比べ、若干安定感に欠けます。

純粋なラップ・スチールに比べ、足のつけられるコンソール・タイプのほうが、音に深みがあるのはそのためです。ボディーは木の分量が確保されており、しっかり弦の音が響くように作られているといえます。

その2「ピックアップとそれに関わる電気系統」

ピックアップはオリジナリティー溢れる形状ですね。カバーが付いていますが、一般的なシングル・ピックアップが付けられています。

2PU仕様。ブリッジ・ポジションには少し角度が付けられてます。 ▲

2ピックアップ、各ピックアップの独立スイッチ、トータル・ボリューム、トータル・トーンというセットです。ピック・アップのセレクターは、独立スイッチになっており、配線の切り替えができ、4種類の組み合わせができるようになっています。ピックアップの組み合わせが色々できるので、好みに合わせた多彩なサウンド作りには向いているように思えます。ブレンド具合を調整できれば、なお良いのですが、ブレンダーの機能は付いていないです。

▲ 左がネック・ポジション、右がブリッジ・ポジションのスイッチ
▲ 左がボリューム、右がトーン。2PUトータルの調整になります

これらピックアップはパワー感はそれ程無く、若干硬いサウンドで、アタック感が強く、ピッキングのレスポンスが良いです。ノイズ面も一般的なシングルらしく有り、エフェクターを数珠繋ぎにするには対策が必要になりそうです。ボリューム・ポッドやジャックといった各部品も、ごく一般的なパーツを使っており、状態によってはガリ、断線といったトラブルも起きていますが、これらは、現在も同じ規格で作られているので、リプレイスが簡単に出来るので問題は有りません。

その3「 ナット、ブリッジの素材および形状 」

ナット、ブリッジは金属パーツが付けられています。ナットやブリッジは弦に直接触れる部分ですので、当然のように音に大きく影響します。これらにしっかりとした金属パーツが使われているのは良いことです。同じGuyatoneの下位機種であるHG-106等は、プラスチック製のパーツが使われているので、音のハリやサスティンが悪い印象になります。安定した弦高と耐久性の高い金属パーツが採用されているので、経年劣化も少なく年代の古いものでもトラブルは少ないようです。ナットからブリッジまでの長さは約59cmです。Fenderに比べると少し短いですが、「まぁまぁ」なサイズ感といったところでしょうか。

▲ 円柱状のサドル。取り付けてある2本のネジで調整もできます。
▲ ナットの溝も弦の太さに合わせて削ってあります。

中古市場で 状態が良く、足が付いているモノであれば、 5万円前後といったところで取引されていることが多いようです。それ位の値段感覚で妥当だと思います。特に初心者で最初の1台に選ぶにはお奨めできる機種ですが、長いことコレ1台を弾ききると考えると、もう少し上位機種が欲しくなる一品です。また、Guyatoneのスチールギターは全て独特な弦間で作られています。他のメーカーのものよりも弦間が若干広い(約10mm)ですので、それには注意しておきましょう。

金髪せんせー


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