スチールギター ハーモニックスについて

スチールギター ハーモニックスについて

スチールギターでのハーモニック奏法について見てみましょう。スチールギターは左手にバーを持って演奏しているため、ハーモニックスを鳴らすには独特な方法で弾く事になります。左右の手の使い方がポイントになります。綺麗に鳴らす事が出来るようになると、フレーズにアクセントを加える事ができたり、印象的な和音を弾く事も出来ます。是非マスターしてみましょう。

ハーモニックスについて
まずはハーモニックスについて理解をしておきましょう。ハーモニックスは特定の倍音成分だけを鳴らす演奏の仕方です。ギターに張られた弦を普通にピッキングすると、基音と倍音が同時に鳴ります。基音がフレットに対する本来の音程を持つ音で、それ以外にも倍音と呼ばれる成分が幾つか鳴っているとザックリ理解しておきましょう。この倍音だけを鳴らす演奏をハーモニックス奏法と呼んでいます。

弦の長さ
ハーモニックスは、弦の長さの整数倍のフレットで鳴らす事ができます。では、弦の長さを確認してみましょう。

スチール・ギターの弦は、ナット~ブリッジまでの長さの丁度半分(2分の1)の位置に12フレットが打たれています。弦は長さが半分になると、1オクターブ高い音になります。開放弦と12フレットは1オクターブの音程差がありますね。弦の長さの半分の位置が12フレットだと覚えておきましょう。

弦の長さの3分の1、これは19フレットになります。3分の2、これは7フレットになります。どちらもオクターブの関係にありますね。フレットに付けられたポジションマークが同じ位置にあるため、オクターブの関係にあることがわかります。ハーモニックスにおいて7フレットと19フレットは同じ音程になり、開放弦の5度上(更に1オクターブ上)の音程がなります。

5フレットと24フレットが弦の長さの4分の1になります。12フレットの更に半分が24フレットになるということですね。5フレットは厳密には4分の3ですが、ハーモニックスにおいて、5フレットと24フレットは同じ音程になります。音程は2オクターブ上の音が鳴ります。

フレット 弦の長さ 音程
12フレット 半分の長さ オクターブ上
7フレット
19フレット
3分の1 5度上(+oct)
5フレット
24フレット
4分の1 2オクターブ上

ハーモニックスを鳴らすには?
ハーモニックスは上に記したフレットの直上で弦を触り、弦を触った状態でピッキングをすると鳴らす事ができます。この時、弦を触るのはバーではありません。バーではなく、指で弦を触ることになります。続く演奏の事を考えると、バーを持ったまま下の写真のように小指で弦を触るのが良いでしょう。弦を触る位置は、フレットの「直上」です。少しでもずれていると、綺麗な音が鳴らなかったり、直ぐに音が止まってしまったりします。また、ハーモニックス音が鳴ったら直ぐに指を弦から離します。こうする事でハーモニックス音を伸ばす事ができます。12フレット、5フレット、7フレットで各弦のハーモニックスを鳴らしてみましょう。

▲バーを持ったまま、小指で弦に触れている

ナチュラル・ハーモニックス
左手で弦を触って鳴らすことの出来るハーモニックスは主に「12フレット」「5フレット」「7フレット」です。他にも「4フレット」「2フレット」等も鳴らす事ができますが、実用性があるものは先に述べた3つのポジションです。それ以外のポジションでは、バーで特定のフレットを押えておき、右手で弦を触ってハーモニックスを鳴らします。左手で鳴らすハーモニックスは鳴らすことの出来るフレットが限定されているので、鳴らすことの出来る音程も限定されています。右手を使ったハーモニックスの鳴らし方は、バーを任意の位置に移動させることができるので、好きな音程を鳴らす事ができます。このようなハーモニックスの鳴らし方は「パーム・ハーモニックス」と「フィンガー・ハーモニックス」の2種類があります。バーの位置と右手で弦を触るフレットの関係を見てみましょう。

バーの位置と右手で弦を触るフレット
鳴らしたい音程に合わせて、何処にバーを置いてもハーモニックスを弾く事ができます。仮に「ソ」の音をハーモニックスで鳴らしたいとしましょう。バーを7フレットに置いて、2弦の「ソ」を弾くとします。右手で弦を触る位置は、バーのフレットに対して「12フレット上」になります。7フレットにバーが位置していたら、右手は19フレットを触ります。バーが3フレットなら、15フレットが右手の位置です。12フレット上の弦を触ると、1オクターブ上の音程を鳴らす事ができます。

バーのフレット 右手のフレット 音程
7フレット 19フレット 1オクターブ上
3フレット 15フレット 1オクターブ上
任意の場所 バー+12フレット 1オクターブ上

バーの位置に対して、「7フレット上」でもハーモニックスを鳴らす事ができます。バーが7フレットに位置していたら、右手で14フレットを触って弾いてもハーモニックスが鳴ります。この時、音程はバーの位置の5度上の音が鳴ります。厳密には5度上の更に1オクターブ上です。7フレットにバーを置いて、2弦14フレットのハーモニックスを鳴らすと、音程はD音になります。

バーのフレット 右手のフレット 音程
7フレット 14フレット 5度上
3フレット 10フレット 5度上
任意の場所 バー+7フレット 5度上

バーの位置に対して、「5フレット上」でもハーモニックスを鳴らす事ができます。バーが7フレットに位置していたら、右手で12フレットを触って弾いてもハーモニックスが鳴ります。この時、音程はバーの位置2オクターブ上の音が鳴ります。7フレットにバーを置いて、2弦12フレットのハーモニックスを鳴らすと、音程は2弦7フレットのG音の2オクターブ上の音を鳴らす事ができます。しかし、右手を使った5フレット上のポジションは、綺麗に音を鳴らすのが難しいので、実際に使われることは少ないです。

バーのフレット 右手のフレット 音程
7フレット 12フレット 2オクターブ上
3フレット 8フレット 2オクターブ上
任意の場所 バー+5フレット 2オクターブ上

ハーモニックスの鳴らし方 「フィンガー・ハーモニックス」
ハーモニックスを鳴らすには、右手で弦を触る訳ですが、右手にはピックを付けています。ピックを付けた指では弦を触ることができないので、ピックをつけていない薬指を使うことになります。下の写真のように、薬指の指先で弦を触って、親指のサムピックで弦を弾きます。この時、薬指は、弦に対して平行になるように構えます。そして、目的のフレットの直上に指先を軽く触れます。この構えが瞬時にできるように、繰り返しフォームを練習してみましょう。サムピックで弦をはじいたら、直後に薬指を弦から離します。ピッキングと指を離すタイミングが綺麗に音を鳴らすポイントになります。「弦を触る→ピッキング→離す」これを一連の流れとしてスムーズに出来るようにしておきましょう。

この方法は、指先を目視できるので、単音を確実に鳴らすことが出来ます。しかし、薬指で弦を1本だけ触るので、複数の弦を同時に弾く事はできません。メロディー・ラインを弾くハーモニックスとして特化した方法と言えます。単音でハーモニックスを鳴らす場合は、この鳴らし方で弾きましょう。

▲薬指で弦を触って、親指で弾く
▲フィンガー・ハーモニックスを弾くフォーム

ハーモニックスの鳴らし方 「パーム・ハーモニックス」
右手の手套を使って弦を触る方法があります。右手を目的のフレット直上に、下の写真のように直線になるように構えます。手のひらを置いた状態で親指でストラムするとハーモニックスを鳴らす事ができます。親指は、指の付け根から大きく動かします。やはり、弾き終わったら直後に手を弦から離すと、音を綺麗に伸ばす事ができます。右手の構えとタイミングを練習してみましょう。

▲パーム・ハーモニックスのフォーム。弦を弾く直前
▲パーム・ハーモニックスを弾いた直後

この方法は、目的のフレットを目視で確認することが、ほぼできません。ほとんど「勘」で場所を特定しています。従ってかなりの慣れが必要です。複音を同時に鳴らす事ができる点は良いのですが、特定の弦をチョイスして弾く事はできないので、ほぼほぼ単一フレットの全弦ストラムで弾く事になります。単音を弾く事も可能ですが、右手のポジションの確実性からすると、フィンガー・ハーモニックスの方が有利になるでしょう。

ハーモニックスを演奏に活かす
ハーモニックスが綺麗に鳴るようになったら、積極的に演奏に取り入れてみましょう。フレーズの最後にオクターブ上の音を鳴らすだけでもいいです。最後のコードを弾いた後、オクターブ上のハーモニックスを鳴らすだけでもいいでしょう。とにかく弾きなれることが大事です。右手を使ったハーモニックスでは、ハーモニックス音を鳴らしたままバーの移動をさせる事も出来ます。こうすることで、ハーモニックス音の音程をバーで操作する事も出来ます。音を綺麗に鳴らすにはかなり慣れが必要ですが、根気良く練習してみましょう。

金髪センセー

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